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死亡・介護原因と運動の関係性

日本の人口の1/3が75歳以上の高齢者になると言われる2025年まであと6年。
少子高齢化の改善の兆しは全く見えず、国の1番の歳出である社会保障費は毎年増加。
2012年から比べ、70兆円以上増えています。

<社会保障費の推移 内閣府発表データ抜粋>

加齢とともに体力が低下するのは自然のことで、病気にもかかりやすくなります。
そのため、高齢化が進むに伴い医療費や介護費などが増えるのは一見普通のことのように思えます。

しかしながら、高齢になる程「病院の受診回数が増える」「薬をたくさん服用する」「要介護状態になってしまう」というのは仕方のないことでしょうか?

健康な体の維持、介護予防にとって必要とされる「運動」。
運動がどの程度、死亡率や介護予防に関係があるのか考えてみたいと思います。

 

1.死亡原因と運動の関係

 

下記のグラフは「危険因子に関連する非感染性疾患と外因による死亡数(男女計)」です。

<厚生労働省健康局がん対策健康増進課発表データ抜粋>

厚生労働省の発表によりますと、日本では運動不足が原因と考えられる死亡者数は、喫煙、高血圧に次ぐ第3位で、その数は年間約5万人であるとされています。

運動不足により引き起こされる疾患として一番多いのが「循環器疾患」、次に悪性新生物です。
循環器疾患には、高血圧・心疾患・脳血管疾患(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)・動脈瘤などが含まれてます。

 

次に、死因別死亡割合を見てみましょう。

<厚生労働省健康局がん対策健康増進課発表データ抜粋>

 

1位:悪性新生物、2位:心疾患、3位:脳血管疾患となっております。
糖尿病、高血圧性疾患も含めると、全体の55%が生活習慣と関連がある疾患が占めています。

運動・禁煙・節酒・減塩・肥満予防の5つの健康習慣の中で実践している習慣の数が多いほど、がんや生活習慣病の発症リスクや死亡率を低くすることがわかっております。

血糖など一部先天性の要因もありますが、死亡率を高めているのは「自分自身の行いそのもの」と言っても過言ではないでしょう。

多くの方の生活習慣が、医療費を増やし続けているのです。
ただ、「自分の生活習慣次第で死亡率を下げられる」とも言えます。

 

2.死亡リスクを下げる運動の目安

生活習慣や運動が死因と関わりが深いことがわかりました。
では、1日にどれだけ運動をすれば良いのでしょうか?

運動経験や体格など個人差があるため、あくまで目安とお考えください。

下記のグラフは、1日の身体活動量と死亡との関係を表したものです。

身体活動量の最小群を「1」とした場合を比較

<厚生労働省発表データ抜粋>

 

運動強度を示す単位(MET)値に運動時間をかけた「METs × 時間」を身体活動量として換算したものが上のグラフです。

男女別・運動量の違いによりグループ分けし、運動量による死亡率の変化を比べたところ、男女とも身体活動量が多いほど死亡率が低下していたことが厚労省の調査研究によるわかりました。

脳血管疾患では、男性は死亡リスクの低下がみられなかったのに対し、女性は死亡リスクの低下傾向がみられたことから、男女差があることもわかりました。

ただし、脳血管疾患や心疾患の原因の大きなものは「動脈硬化」です。
動脈硬化の原因となるものには「喫煙・飲酒・肥満」などがあり、生活習慣と大きく関係しています。

肥満は食生活と運動不足が深く関係していることから、別の視点から考えれば脳血管疾患の死亡リスクを下げるためには運動が必要と言えるでしょう。

上記のグラフ「1日の身体活動量と死亡との関係」を見ると、L(最も運動量が少ない群)と死亡率が下がるS(2番目に運動量が少ない群)の差は約6METs。6METsの運動量がどのくらいかは、下記のグラフを参考にしてください。

概略ではありますが、死亡率を下げるためには日々の生活に、最低限6METs相当の運動を1時間、または3METs相当の運動(時速4kmの歩行など)を2時間行うことが必要ということになります。

 

3.介護原因と運動の関係

 

次に要介護状態になってしまう原因と運動の関係についてみてみましょう。

下記のグラフは介護が必要になった主な原因の構成割合です。

<厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査」発表データ抜粋>

青枠で囲ったものが主に「生活習慣」に起因したもの。赤枠が主に「筋力低下」に起因したものです。
その2つを合わせると、介護が必要になる原因の64.2%になります。

生活習慣病の原因は「1.死亡原因と運動の関係」でも分かる通り、原因のほとんどが「喫煙・高血圧・運動不足・高血糖・塩分の高摂取・アルコール摂取」によるものです。

先天性の疾患、遺伝的要因、生活習慣とは関連なく発症してしまったものなども含まれるため一概には言えませんが、要介護状態になる原因の28.1%が自分の生活習慣によるものと考えられます。

では次に「運動機能の低下」に起因したものについて考えてみましょう。

 

4.運動機能の低下と運動習慣の関係

 

下記のグラフは体力低下と運動習慣の関係を表したグラフです。

<文部科学省発表データ抜粋>

10m障害物歩行とは、10mの間に、2m間隔で置かれた6つの障害物(高さ20cm、幅1m、厚み10cm)をまたぎながら歩き、かかった時間を計測するテストで脚力や歩行能力の指標として行われています。

スポーツ・運動の実施頻度に関わらず、男女とも加齢により記録が低下していることがわかります。

しかしながら、男女ともに運動の実施頻度が高いほど体力低下の割合が低いことがわかり、週1日以上運動をする人と運動しない人とでは差があることがわかります。

30代と40台の成人は、1年間で約0.22Kgの筋量を失うと言われ、50歳を超えると筋量減少は加速し、1年間で約0.45Kg程度の筋量が減少することが明らかになっています。

ある研究では、成人後10年で約4.5Kg体重が増えるが筋量は2〜4.5Kg減少し、さらには7〜9Kgの脂肪が増加しているという結果が報告されています。

筋量は減るのに食べる量が変わらなければ、基礎代謝(エネルギー消費量)が低下し肥満体型になっていきます。

加齢により筋量が減少する割合は下肢が多く、毎年筋量が減少するのに体重が増えていけば、関節等の負担が増え壊れていきます。介護状態になる原因の10.9%が関節疾患によるものです。

体重が増え筋量が減れば、歩行速度や歩幅が低下します。歩幅が低下すると転倒のリスクが高まることがわかっており、介護状態になる原因の11.8%は転倒やそれによる骨折によるものです。

その結果歩けなくなり、日常生活に必要な機能的能力が低下するのは当然です。

加齢により日常生活に悪影響を及ぼす機能的能力の低下は、ほとんどの高齢者が経験します。
しかし、多くの研究において各種トレーニング(運動)が機能的能力を効果的に改善することを示しています。


高齢者が有酸素トレーニングや筋力トレーニング行うことは、心肺能力・筋機能・身体能力を向上させるのに有効な手段であり、心臓血管系の疾患・大腸癌・2型糖尿病・骨粗鬆症・腰痛・関節炎・うつなど多くの疾患の症状軽減に役立つことがわかっています。

※運動経験があまりない高齢者の運動の目安を知りたい方は「運動経験がない高齢者が行う運動の目安」をご覧ください。

 

先にも表示したグラフですが、運動機能の低下によるものが要介護状態になる原因の36.1%を占めています。
加齢による衰弱は自然現象ですが、運動により介護状態になるのを防ぐことも十分できると言えるでしょう。

介護が必要になる原因の64.2%が「生活習慣」と「運動機能の低下」によるもので、死亡率と同じく介護状態になるかならないかは「自分自身の行いそのもの」と言えるのではないでしょうか。

逆に考えれば「自分の生活習慣次第で要介護状態になる確率を下げられる」とも言えます。

 

多くの方が病院を必要とせず自立した生活を続けられれば、高齢化社会は問題ではありません。
膨大に増え続ける社会保障費が抑制できれば、その分を少子化対策に当てることができます。

※少子高齢化と社会保障費の現状を知りたい方は「少子高齢化と社会保障費の現状」をご覧ください。

 

厳しい意見かもしれませんが、自分のことだけでなく日本の未来(未来を生きる子供達)のことを考えれば、「生活習慣の改善」と「運動の継続」は個人の自由ではなく、もはや「義務」と言えます。

 

5.高齢者の体力動向

 

以下は高齢者の体力動向を示したグラフです。

<スポーツ庁発表データ抜粋>

平成10年と比べ、高齢者の体力レベルが上がっていることがわかります。
しかしながら、社会保障費は抑制されるどころか膨大に増え続けていることが以下のグラフからわかります。

<社会保障費の推移 内閣府発表データ抜粋>

運動には、様々な疾患の予防・死亡率の低下・介護予防の効果があることがわかっていますが、高齢者の体力レベルが上がっているにも関わらず医療費や介護費が増加しているということは、現在行われている高齢者向けの体操やトレーニング方法では対策になっていないということではないでしょうか。

医療費は高齢者だけが使っているものではありませんが、65歳以上が使用する医療費の割合は、65歳未満の4倍と言われています。現在3人に1人が70歳以上であることから、医療費の多くを高齢者が使用していることがわかります。

 

日本の人口の1/3が75歳以上になると言われている2025年まであと6年。
一説では、日本の社会保障は破綻するとまで言われています。

少子高齢化の先に待っている日本の未来を見れば、高齢者に限らず全国民が「生活習慣の改善」と「運動の継続」を実施し、最後まで自立した生活を続けることが求められます。

同時に、より若い時から継続して運動できる機会と情報を提供し、「自分で健康に関する情報を取捨選択し、自分で健康を管理する能力を高める教育を行う」ことが、これからの企業や社会に求められるでしょう。

 

何よりも自分のため。
「生活習慣の改善」と「運動の継続」を実施するだけで死亡率を下げ、介護状態になることを予防できる可能性が高まります。それは、最後まで「やりたいことができる」ということです。

自分のため、介護をすることになる家族のため、社会(未来を生きる子供達)のために、自らの行動を見直していただくきっかけになれば幸いです。

長文を最後までお読みいただきありがとうございました。

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